匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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楽しむためでは無い。知るために見るのじゃ
(お洒落だとかそういうことは全く分からない。イナリは最近の洋服の何たるかも知らない。そもそも「洋」に関する知識が昔のままでストップしているのだから。イナリのイメージは未だに貿易港の異邦人、黒船と共に来た外国人、スーツを着て街を歩く大使など時代錯誤もいいところだ。
しばらく歩いていくとスーパーに到着してしまった。分かっていたことだが人が多く大きく溜息を吐く。しかし今日はいつもとは違う。なんてたって彼女が一緒にいるのだから。ここでは頼りにせざるを得ない相棒を一瞥すると小走りでカゴを取りに行ってしまった。焦ってイナリも後に続くが、カゴを握ることができない彼女に後ろから声を掛ける)
いや、大いにある。買うべき物を伝えよ。それとじゃな…その、我から片時も離れるでないぞ
(表情は変わっていないが不自然に背に隠された手はきっと震えているのだろう。彼女に代わってカゴを持つと彼女にやって欲しいことを伝える。それと恥を忍んで改めて傍に居るようにお願いする。彼女は気付いただろうか。彼女が小走りでカゴを取りに行った際、イナリの表情が大きく歪んだのを。境内ではイナリの方が上位であるが、こと文明社会の中では彼女の方が上位だ。だから居てもらわなければ困る。自分本位と言われようが構わない。我はここを無事に脱してみせる──決意をすると彼女の言葉に頷き、横に並んでスーパーの中へ歩みを進める)
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