匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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( パキッ、とパンプスが細い枝を踏み折る。しかし、周囲の木々へ大粒の雨が降り注ぎ、そのざわめきで枝の折れる音なんてかき消されてしまう。仕事前に気分転換でもしようと普段来ない道へと進んだはよいものの、薄暗い空に大雨、ざわめく森にずぶ濡れのスーツ姿が1人、おまけに長い髪が濡れて顔に張り付くものだから、その光景はなんだか不気味に映ってしまう事だろう。
少し前に気に入って購入した傘も、生徒に“借りられて”しまい、まだ新しいものは購入していなかった。
髪をかきあげて、鬱陶しく滴る雫を拭いながらそのまま先へ先へと進んでいくと、ふと、神社が目に入り、吸い込まれるように参拝所へ。見たところ、ほとんど人がやって来ない神社らしい。
まるで忘れられ廃れてしまったような神社は、何故か自分の姿と重なり、参拝箱の縁にそっと触れる。
そしてバッグの中から財布を手に取ると、5円玉を取り出して優しく箱の中へと転がした。)
……あの子たちが全員、志望に落ちますように。
───なんて、教職として最低ね。
( 手を合わせ小さな声で願い事を呟くと、小さく息を漏らして笑っては自分自身へ呆れたような小言を付け加えた。
去り際にもう一度神社をちらりと眺めると、そのまま踵を返して来た道を戻ろうとし)
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