匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(着替え終えると、小袖は丁寧に畳んで鞄の傍へ置いておく。たった1日ほどスーツを着ていなかっただけなのに、えらく久しぶりのような感覚を得るのは、恐らく働いていた頃は毎日朝から晩まで着ていたからだろう。流石に窮屈なのでジャケットは着ないが、白のYシャツとタイトなスーツスカートよりも断然小袖の方が動きやすい事に今更ながら気がつくと、帰ってきたらまた其方に着替えようと内心思う。
ついでに、この2セットの服で過ごすというのもなんだか味気ないので、買い出しの時に洋服も買ってしまおうか…なんて、そんな事を脳内で考えながら自分の財布を取り出していると、ふと本殿に入ってくる彼の姿が見えた。すると、じーっと彼の顔を見てからなんの遠慮も無しに言葉を発する。)
…どうしたの。なんだか顔が変よ。
( 自分のせいで彼が気を遣っているとも知らずに平然とそんなことを言えば、疑わしい目をしたまま尚も彼の顔を見つめた。
変とは言え、その言葉通り変顔なんかをしているのではなく、ただ単に無表情とはまた違った取り繕ったような顔に見えた為、違和感を感じたようだ。まるでやんちゃな男子生徒がやましい事を隠しているかのような顔。
まぁいいわ、と首を小さく振ると相手へ歩み寄り、黄色のシンプルな長財布を手渡して。)
私は居候のようなものだし、買い出しの時は使って頂戴。
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