常連さん 2024-01-05 18:32:59 |
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( 腕の見せどころだと言われると、今度はわざとらしく誤魔化すために肩を竦めた。もちろんその言葉は正しいし頑張るには頑張るのだが、気が向いたら、と素直に守られようとはしてくれない相手をちらりと視界に移し、また資料を見た。こういったパーティは言わば金持ち達の合コンと言ったところか。特に若い娘が主催しているのだからその色が濃いことだろう。何があるかわかったものでは無いし気が気では無いのだが、仕事なので仕方ない。相棒の言う通り頑張るか、とため息混じりに自分も準備をしておこうかと立ち上がった。
その時、何やら悩ましげな声が漏れてきた為、デスクの傍を通り過ぎる時になんとなく寄っていって、片手を相手の顎に添えるとグイと此方に向けてその顔をじっと見つめた。)
──お前はこの色がよく似合う。
(そう言うと、勝手に化粧ポーチに手を伸ばし、上品なコーラル系の色合いをした口紅を相棒の唇に重ねた。少し塗りすぎたかと下唇を自身の指でそっとなぞって拭うが、その直後、はたと気まずい雰囲気だった事を思い出してぱっと手を離す。「上品さを出した方が都合がいいだろ」と口早に付け足すと、逃げるようにして自室へと向かっていった。)
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