通りすがりさん 2023-12-27 11:12:37 |
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【薫・クリフォード】
…じゃあ、お言葉に甘えることにしよう。─ありがとう、硝華。
("お姫様"の言葉を聞いた「彼」の、両目の宝石を覆う睫毛が緩やかに持ち上がり─ふわりと、普段の彼とはまた雰囲気の違う柔らかい笑みが漏れた。─丁度その時、階下から「薫、ちょっと降りてきて」と母親の声が聞こえる。「彼」は"お姫様"に断りを入れ、通話保留ボタンをタップして)
ごめんね、硝華。少し母さんに呼ばれたから─待っていてくれるかい?
【葵依】
…人と茶を飲むのなど、何時振りだったかな。
(彼は小町の持ってきた盆から湯呑みを手に取り、虚空に向かってぼんやりと呟いた後─湯気の立つそれを一口啜る。少女に茶を持って来た礼と共に微笑み掛けられた小町は、礼儀正しくぺこりと頭を下げつつ彼の着物の裾を小さく掴んで隠れてしまった。「─小町、このお嬢さんは大丈夫だよ。出ておいで」見兼ねた彼が小町の頭を撫で、そう声を掛けると─小町はおずおずと着物の影から顔を覗かせて、狐の面で覆い隠された口からは声の代わりに鈴を鳴らしたような音を漏らし)
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