通りすがりさん 2023-12-27 11:12:37 |
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【薫・クリフォード】
…ふふ、キミの力になれたなら良かったよ。
(電話越しに聞こえてくる笑い声に釣られるように「彼」も笑い、文字をなぞる指がふと止まる。窓ガラスを叩く微かな雨の音は心地良く、"お姫様"の柔らかな声と相俟って、「彼」はどこか美しい音楽を聞いているような気分で電話越しの声に答えて)
【葵依】
……有り難う。─小町、お客人に茶を頼めるかい。
(出会った時より楽しそうな表情を浮かべる「ひと」の子─椿に、彼は瞳を伏せながらしみじみと礼を述べた。彼は本殿へ向かって歩き出す折、木立の中に向かってそう呼び掛ける。木立の中からは声の代わりに鈴を鳴らしたような音が響き、トタトタと慌ただしい足音が何処かへ向かって消えた。黒髪が玉砂利に擦れる度に髪が玉砂利を巻き込み、ざりざりと音が鳴る。其処だけごく最近作られたような濡れ縁に彼はゆったりと腰を下ろし、少女を手招き)
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