通りすがりさん 2023-12-27 11:12:37 |
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【薫・クリフォード】
─もしもし?
(瞳に映る稲光が消え、途中まで読んだ文庫本に再び目線を戻した所で─机に放り出していた携帯電話が着信を告げる。"硝華"と表示された名前を見るなり「彼」は文庫本を閉じ、スピーカーモードにしてから通話開始ボタンをタップした。"お姫様"が喋り出す前に、柔らかく声を掛けて)
【葵依】
─痛くは無いよ。心配してくれているのかい?
(久方振りに空気に触れた彼の右腕が、ズキリと疼いた。─"神殺し"、"化け物"と─昔に「ひと」の子が発した恐れの声が未だ耳にこびりついている。だがそれも、眼の前の少女の柔らかな掌に全て吸収されるような気がした。彼はすう、と右腕を持ち上げ─薄布の取れた美しい顔に柔らかな笑みを浮かべながら、ぽす、と眼の前の少女の頭に手を置く。決して壊さないよう、慎重な手付きで彼女の頭をふわふわと撫で回した。)
君は…優しいね。
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