通りすがりさん 2023-12-27 11:12:37 |
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【薫・クリフォード】
キミの気持ちは嬉しいよ、でも…ごめんね?でも、安心して。キミはこんなに美しいんだ、きっと僕より良いお相手が見つかるさ。
(授業終わりの放課後、さて"お姫様"を迎えに行こう─としたところで、顔を赤らめた女生徒に階段の踊り場へ呼び出されてしまう。嫌な顔一つせずその女生徒に着いていけば、どうやら彼女は「彼」のことが好きなようで─私じゃ妃先輩には敵いませんが、と前置きをしてからお願いします、と頭を下げた。「彼」はその辿々しい告白を静かに聞いた後、困ったような笑顔で首を横に振る。ですよね、分かってましたと強がって立ち去ろうとする女生徒を呼び止め─長い黒髪にキスをした。再び顔を赤くしたその女生徒を門の前まで送り、自身は"お姫様"を迎えに戻って)
すまない、待たせたかな?
【葵依】
それはそれは…嬉しいことだ。─有り難う。
(彼は椿、と名乗った少女の言葉に目を丸くし、何度かぱちぱちと目を瞬く。彼の名を呼んでいた「ひと」の子など、神封じの一族程度─それも、儀式の上での形式上のもの。眼の前の少女のように柔らかな声で呼ぶ者など居なかった。少しの間を置いて酷く愛おしげな笑みを口元に湛え、深々と頭を下げた。ふと彼が顔を上げると、空は半ば夕闇に染まり始めている。彼の髪と同じ色をした烏が鳴きながらぐるぐると神社の上空を回り、木々とは異なる「ひと」ならざるモノ達のざわめき声が彼の耳に届いた。彼は長い間の幽閉で痩せ細った生白い手を伸ばし、少女を呼んで首を傾げ)
…もう夕暮れだ、お嬢さん。一人で帰るのは心細いだろう─俺が麓まで送っていくよ。
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