通りすがりさん 2023-12-27 11:12:37 |
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【 妃 硝華 】
、……ふふ。許すわ。
( 決して強い力ではないのに、不思議と体は〝彼〟 の手に寄って引き寄せられふと先程よりもずっと距離が近くなる。ぱち、と硝華はエメラルドを1度だけ大きく丸くした後に彼女にしか見せないようなふにゃりとした花が綻ぶ微笑みを浮かべれば、目の前の琥珀の瞳がよく見えるようにするりと白く美しい頬に両手を添えながら愛おしく大切なものを見るとろりと蕩けた瞳で目線を絡めて上記をそっと囁いて。そうすれば周りの女子生徒からきゃあ、とさらに黄色い声が上がり男子生徒からは羨望の視線が強くなるが硝華はそれを気にすることなく自分だけを映している美しいふたつの宝石を見て満足気に目を細めればそっと頬に触れていた手を離しつつ「 愛しの王子様の瞳には確かに私しか映ってなかったもの。 」と口元に手を添えて笑い。 )
【 椿 】
─── 閉じ込め、られていた……?それって、
( どういう意味、そう口を開こうとした椿の瞳に入ってきたのは二人の間を駆け抜けた生ぬるい風に吹かれた際にふと顕になった彼の人ならざる耳と、それからその輪郭を蛇のように這ったナニかの呪言の書かれた紋様。ぞわり、と粟肌の経つ感覚がして、先程までは全く感じなかった空気すらもどこかひんやりと冷えたような気すらする。だがしかしふしぎと目の前の彼から厭な気配がすることはなく、嗚呼人では無いのかもしれない、だなんてどこか冷静に自分の中で考えがすとんと落ち着いたのか此方を恐らく見つめているのであろう薄布にぱちぱちと瞬きを繰り返せば「 ……つ、つばき、椿よ。 」と驚きゆえに舌っ足らずの子どものようにたどたどしく答えて。 )
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