通りすがりさん 2023-12-27 11:12:37 |
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【 妃 硝華 】
─── よし、と。いってきます。
( 朝。部活動に所属している訳では無いけれど、何となく早く目が覚めてしまったので教室の花の水でも変えようかと少し早い時間に家を出る。いつも通りしゃんとまとめた髪は細やかな装飾が耀くバレッタで止めて、しっかりとアイロンの掛けられたシャツ、それからふんわりと香る程度のキンモクセイのコロン。朝から完璧にまとめられたその姿で家から出ると、燦々と輝く太陽の光にエメラルドグリーンを細めて。 )
【 椿 】
……はぁ。
( 夕闇迫る黄昏時。金色の夕陽の光を背に受けながら登るのは山中にある長い長い階段。その先にあるのは古い神社で、山奥にあるせいか自分以外がそこに参拝しているのを見た事がないほど静かな場所、そこが椿の誰にも言ったことの無い秘密の場所だった。落ち込んだ時や何かあった時は必ずここに来て、神様にも誰にも言うわけでもなく1人反省会をするのがお決まりだった。普段ならば寄り道なんて以ての外だけれど、今日はクラスメイトにいつものように可愛げのない発言をしてしまったので少々落ち込んでいるのだ。漸く少し朱の剥げた鳥居を潜れば、誰も人のいない静かな境内に安心したように息を吐いて。 )
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