一見さん 2023-12-23 17:33:22 |
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〈倉木真澄〉
「…ああ、ごめん。起こしたかな?」
(一番凝り固まった背筋をぐっ、と伸ばした辺りで─背後から誰かに抱き着かれた。一瞬だけ身体が硬直して身構えるが、次いで聞こえてきた声に警戒を解く。─どうやら、不安にさせてしまったらしい。甘ったれた様子で抱き着いてくる彼の頭を撫でてやり、優しく微笑んだ所で─パンが焼けたのを知らせる軽快な音、そして─親を見つけた子供のように、自身の方へと勢い良く走り寄ってくる五条の足音が同時に響いた。トーストを取り出そうとした手首を強く掴まれたかと思えば、横から抱き着いてきた五条に─「真澄、僕のこと…一人にしないで…」と、潤んだ瞳と半泣きの声で強請られる。─この男達のこんな姿を見られるのは自分だけだ、と思うと─悪い気はしない。今にも泣き出しそうな五条の額へ唇を落として宥めてやり、焼けたトーストの乗った皿とコーヒーをダイニングテーブルに置いた。「…少し、早く起きすぎてね…起こすのもどうかと思ったから、先に朝ご飯を作ってたんだよ。」拗ねた表情の五条にそう弁明し、コーヒーを一口啜る。それで納得してくれたのか、小さく頷いた五条もコーヒーを啜った。)
──
〈五条悟〉
「……しつけえって。」
(柱に凭れ掛かって彼女を待っていると、急に知らない女が話しかけてきた。適当にあしらっていたが、どうにも鬱陶しくて眉を顰める。)
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