｢｢ 帝都に咲かせたこの命 ｣｣ 〆

そうだね、きちんと挨拶しにいこう。（　丸っこい頭頂部に洒落の大きな手が乗せられる。そのまま頭を撫でる彼の手付きは、年頃の女が一度は憧れる童話の王子が優しく撫で付けるようなものとは違って愛玩動物を愛で撫で回すような手付きだけれどそれが心地良く、髪が乱れるのも気にせずされるがままでいて。神社を見つけたから先ずは神様にご挨拶をと申し出る洒落の相変わらずの律儀さに尊敬の念を示し、その意見に快く賛同する。“ 店で欲しいものがあれば自分に ”とさも当たり前のように言ってのける洒落に、自分にも給与は出ているのになと思いつつ今それを口に出すのは野暮だと言葉を飲み込んで。頭から彼の手が離されれば「 髪、整え直してくる。神様に挨拶しにいくのにこんな頭じゃみっともないでしょ 」と悪戯に笑みを向け。少し離席し、櫛で乱れ髪を綺麗に直してそそくさと洒落の元へ戻れば、周りの演者に“ 行ってきます ”の代わりに「 デヱトしてくる 」と一言告げ「 よし、行こう洒落 」と洒落の方へ笑い掛け）