館の魔女 2023-10-17 21:30:43 |
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「 そうだったのね…。まさに貴方が出会った者たちのように、他者を癒す為に魔法を使う者もいれば、その逆も存在するわ。」
かつて治癒魔法で助けて貰い、更には敵対したこともある上、今度は仕事上の主が魔法族とは、彼もまた難儀な出会いをしているらしい。静かに話を聞いては、深くは探らずただただ彼の心中を察するように頷いた。
「 しかし、魔法はあくまで精霊が居なくては使えないの。
つまり“魔法を使う”のが魔法族なのではなく“精霊の声を聞き、その力を借りる者”が魔法族なの。
精霊にも良い者がいれば悪い者もいるから、悪い精霊と悪い魔法族が手を組めば、攻撃的な魔法使いになり得るわ。
…あと、魔力が強い者ほど、精霊の声には耳を貸さず無理やり力を使う者もいるの。罪の数ほど瞳が燃えるように赤く変化するからすぐに分かると言われているわ。瞳が赤いのは、あまり良い魔法族ではない証ね。」
落ち着いた声音で魔法に関する知識を説明していると、ふと、空間に漂う煌めき達がふわりふわりと周囲に集まってきた。悪戯しているかのように自身の周りをぐるぐる回る様子もあれば、彼の近くまで寄っていっては様子を伺うように頭上で恐る恐る漂っている様子もある。
この煌めき達こそ、今口にした精霊たちのようだ。
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