館の魔女 2023-10-17 21:30:43 |
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階段から足を踏み外してしまった瞬間、僅かな落下感の直後には既に彼に支えられたあとで。視界が真っ暗な中、何が起こっているのか一瞬理解が出来なかったが、両肩に添えられた其れに自身の手を重ねると、その冷たく固い鎧に、鎧越しに伝わる力強い感覚にも安堵する。
「 えぇ、お陰様で。助かりましたわ。」
階段の手すりに腕を伸ばせば、ゆっくりと支えられていた身体を起こして礼を述べる。怪我の有無を心配してくれる相手には、無傷であることを示すために大きく頷き、少しばかり恥ずかしそうに笑って。
「 早速そそっかしい所を見せてしまってごめんなさいね。
私、少しぼんやりしてる事があるみたいで…何かあればビシッと言ってね。」
歩みを再開し階段を登りながらそう話すと、肩を竦めて笑って見せた。
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