館の魔女 2023-10-17 21:30:43 |
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「 さて、それでは、そろそろ行きましょうか。」
暫く唸っていた相手も観念したのか、名を呼ばれると嬉しそうに頷いて笑顔を見せて。ああ言ってしまったことで逆に気を遣わせてしまうだろうか とも考えたが、できるだけ彼にもリラックスして過ごして欲しい、と思っているらしい。
そして、彼も紅茶を飲み終わっただろうかと察すると、上記の言葉を呟いて腰をあげるのと同時に、右手の人差し指でくるりと円を描くような動作を行う。すると再度テーブルが輝きだし、先程までそこにあったティーセットが跡形もなく消え去ってしまった。
「 此方よ 」と客間を出て先程通った大広間に出ると、中央から上階に伸びている階段の手すりを捉える。どうやら相手の部屋から案内するつもりのようで、軽快な足取りで階段を登っていくのだが、ちょうど中心程の高さに差し掛かった時、頬を掠めて行った精霊に気を取られ、階段を踏み外してしまう。
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