館の魔女 2023-10-17 21:30:43 |
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「いえ、しかし……」
今まで騎士として生きてきた経験から、主人に対して“気を遣わないこと”という行為にはやはり抵抗があった。騎士にとって主人とは忠義を果たすべき相手であり、主人には誠実であると同時にその品位を貶めるような事はあってはならない。故に騎士として主人に忠実であらねばならないという考えのもと、誠実な姿であるように心掛けていたつもりだったが、それがプレッシャーになっていたのかもしれない。
しかしやはり騎士として……と考え、何度かしかし、ですが、と唸っていたが、主人の笑顔とその言葉がダメ押しになった。最後の一口を飲み終えると、小さく咳払いしてから覚悟を決めたように話した。
「……承知しました、ビオラ様」
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