館の魔女 2023-10-17 21:30:43 |
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「ええ、貴女様であれば、いつでも私の身の上をお教え致します。それでは僭越ながら、頂戴させて頂きます」
主人の言葉に快く肯定で返すと、ティーカップを手に取った。面頬を手で押し上げて作った隙間にティーカップを入れ、そっと一口飲んだ。紅茶の上品な香りと良い味とが口内に広がる。素晴らしい紅茶だ、続けてもう一口、もう一口と飲んでしまいそうになるが、そのような下品な真似はできないと名残惜しくも一旦口を離した。
「とても良い紅茶です。このような美味な紅茶を頂けることに、今一度感謝の意を」
また小さく一礼し、主人の紅茶を飲む姿を眺めながら自分も口を付ける。途中、主人から屋敷の中と自分の部屋の案内の話を聞き、なんと、と驚いたように返事を返した。
「貴女様直々の案内に加え、私の部屋まであるとは、その寛大な御心、痛み入ります」
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