林檎の園(〆)

林檎の園(〆)

掲示板ファンさん  2023-10-09 19:52:48 
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二人だけの禁断の楽園─

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  • No.42 by 羽賀 千秋  2023-10-27 20:50:29 


(あーっ!!あーっ!!お姉さん!!お姉さん大変ですよ!!ちーくんが!ちーくんが!狙われてます!!次の新作を作らないでください!!()是非感想を!お姉さん喜びますよ!)

(時間も時間だからだろうか、閑散としたギャラリーに足を踏み入れた後は投げ掛けられた彼の不思議そうな言葉に答えるのも忘れたまま、奥まったエリアの中心に据え付けられた"鷹狐 茜姫作"のプレートを掲げた大型の彫刻の前へと吸い寄せられるように近付いて、その前でぴたりと足を止める。写真で見たよりもずっと大振りだったそれを見つめていると、鷹の怜悧な眼差しに、狐の底知れぬ妖しい雰囲気に射止められるような気がした。─相変わらず、姉の彫る彫刻は普段の春風のように自由奔放な姉とは全く違う、近寄り難いような雰囲気を纏っている。少しの間表する言葉も無く彫刻に見惚れていたが、ふと気付いたように鞄から携帯を取り出すとメッセージアプリを起動し、"作品、見たよ。凄いね、いつものことだけど圧倒された。空の王と陸の隠者の一触即発の雰囲気が凄く出てる。狐は姉さんだと思うけどさ、鷹のモデルってもしかして俺?"とだけ姉にメッセージを送ると既読も返事も待たずに携帯をスリープモードにした。姉の事だから、また次の作品作りにでも熱中しているだろうと思うので─返信は期待していない。─他の彫刻も勿論素晴らしいとは思うが、姉弟の贔屓目を抜きにしても姉の作品は段違いだ。普段の姉、吹き抜ける風のように自由な性格からは想像がつかない。自身で提案した行き先だが、ギャラリーを観覧すると言うよりはほぼ姉の作品の前で固まったまま、彼が他の作品と会話するのを思考の隅で聞き流していた。周囲に配置されている兎や鼠といった小動物の彫刻すらも、姉の作品を引き立てているように感じてしまう。暫くしてから漸く彼─同行者の存在を思い出したらしく、彼の方へ顔を向けて「……ああ…すみません」と謝意を述べて)

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