アイドル様 2023-09-16 18:48:49 |
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─── 伊吹、さん。
( 優しい、静かな夜に降り積もる雪のような声で意識がふっと起きてくる。まだ寝起き特有のぽやぽやした頭でぼんやりと彼の冬空色の瞳をしばらく見つめていたもののハッと我に返れば「 起きれるわ。平気。 」といつも通りのスンとした年齢よりも少し大人びた声で返して。それから慣れたようにセキュリティが万全のオートロックタイプの我が家へ帰れば、いつ見ても女の子が1人で住んでいるとは思えない必要最低限の家具しかないシンプルな部屋に不思議と安心して。女の子然としてあるものといえば、眠る時にいつも抱きしめて寝ているぬいぐるみくらい。もうすっかりマネージャーたる彼が家に入るのも慣れたもので─── というかそもそもこの家に入れたことがあるのは彼くらいなのだが ─── さくらは「 着替えてくる 」と一言告げてはまあきっと彼もこの家の事は勝手知ったるだろう、というふうにそのまま自分の部屋へと入っていき。 )
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