掲示板ファンさん 2023-09-16 14:07:27 |
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( 仕留める。潰す。排除する。普段なら考えられない程の暴力的な感情。それにつき動かされるまま、ここまでの突進で悲鳴を上げる身体を沈み込め、飛び掛かるその直前。視界に割り込む紙片に動きが止まった。“敵”だけを見据えていた目は、睨めるように組み上がる存在を見詰める。現れたのは笑顔。そして名を呼ぶ軽い声。いつもの相棒の姿。「…………イヴ。」――“彼”を認識する。“相棒は無事である”。その事実にすっと憎悪が凪いで構えが解ける。荒く浅かった息を深く吸い、今頃になって能力の不制御から来る貧血に多少ふらつきながら、相棒の状態をじっくり確認して顔を顰めたその直後、「なっ、」明らかに人体にあるまじき方向を向く腕をヘラヘラと笑って振り回す姿に目を見開いて、咄嗟に武器を放ってその両肩と二の腕を己の諸手で挟むように掴み、叫ぶ。「動かすなっ!!」狼狽、焦り、怯え。合わせた視線に混ざる色。「多分ではなく、確実に折れているだろう、それは。」前線を担当して十五年余り、骨折程度経験がある。そしてそれは少なくとも、そんな風に笑える痛みではない。思い出すその感覚に――まだ自覚の無い僅かな心配も含んで――顔が思い切り歪む。「見ているこっちまで痛くなる。…だから、今はそういう奇行を止めろ。」それから、今更目を逸らしていつもの毒言。今、己が血に塗れた手で反射的に掴んだ相棒の服は、融けていない。動揺と呆れ以下、ごちゃつくあらゆる感情を溜め息に変えて吐き、平素の不機嫌そうなふてぶてしい態度で、まだ無事な側の相棒の肩から片手だけを離す。「……怪我を見せろ。」ぶっきらぼうに告げた一言の思惑は、相棒の負傷の応急処置。医術は素人だが、部分麻酔なり傷の癒合なり、まあ出来る事があるだろうと、相棒の次の行動を待ちながら、さんざ毒を垂れ流した跡が残る掌上を自らの白衣で雑に拭って、また新たに薬性の生成及び捻出を始め )
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