斎藤 悠介 2023-09-13 21:51:55 |
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「それは残念、気に食わねェ野郎だな。坊ちゃんは諦めろ、コイツみたいになるぞ。」
( 大堂の言葉に無表情のまま軽く首を傾けると暗い灰色ベースに銀メッシュの入った髪が緩く揺れる。そろそろ髪を切って染めなければならない、と考えた時に坊ちゃんにメッシュの拒否をいつも通り要望しようと思っているのだが即断られるだろうとも考える。どうやら自分は犬のシベリアンハスキーに似ているらしく、幼少期の彼にそれが理由で気に入られてからはずっとこのままだ。そんな事をぼんやり脳内の片隅で考えながら一言告げ、大堂に呼ばれて後をついて行こうとする部下の右太腿を銃で平然と撃ち抜けば表現し難い声を上げて部下は倒れ込む。ナイフとは違いこちらは大型の拳銃、太腿の骨が砕けてしまっただろう。それを見ていい見せしめだと視線を外せば2人の元へと跪き )
「到着が遅れてしまい、申し訳ありません。すぐに医療班が到着しますので天羽さんはゆっくり呼吸をし、安心してください。…坊ちゃんも。大丈夫です。」
……──悪い。唯織さん、しんどかったら目閉じて。もう、本当に大丈夫だから。
( 目の前で起きる光景はもうこれ以上目に入らず、彼への心配だけが胸の中を満たす。そんな時に傍に来た住吉に肩を軽く叩かれ、漸く呼吸を思い出して軽く息をすればそれと同時に自分の情けなさすらを感じる。色んな想いを今は心の内に閉じ込めて、冷たい手を握ると静かに告げ )
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