異世界の創造者(スレ主) 2023-08-24 16:02:04 |
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>all(バチキン、レイチェル)
【メレーヌフォレスト 森 /ハルル】
「ふわぁ~……今日も森は平和ですねぇ……」
メレーヌフォレストの森の中、一人の少女が歩きながら、あくび混じりに呟いていた。
その少女は、ゆるふわの髪にドングリのペンダント、そして花かんむりと、非常に愛らしい姿をしていたが、背中にはなんと、ピンク色の羽が生えている。
彼女は花の妖精であり、名はハルルという。
両親はおらず、一緒に暮らす祖父から溺愛されていたがために、この三百年、メレーヌフォレストの外のことはなにもしらずに育ってきた。ハルル自身は、大好きなおじいちゃんと一緒に居られたらと思っていたが、最近、そんな考えが変わるきっかけがあった。
それは、他の森の住人の、とある噂話だった。
『森の両隣にある、マファリム王国とミカレヌ魔国が、また争いあうかもしれない』という……。
(気になるけど……おじいちゃんは絶対外に出してくれませんからねえ……)
前に一度、森を出たいと祖父に訴えたら、しこたま叱られたものだ。溜息をつきながら思い返していると、ふと足を止める。
明らかに森の住人でない話し声が聞こえたからだ。
そっと近づき、木の影に隠れていると、金髪の人間の少女と、白くてのっぺりとした姿の生き物が、何やら話をしている……。
(うーん……困った人は迷わず助けるのが私のポリシーですが……おじいちゃんから森の外から来た人とは話すなと言われてますからねぇ……)
祖父は孫を思うあまり、かなり厳しいらしく、たとえ移住した人間でも、森の外から来た人とは絶対に話してはいけないときつく言われている。
とはいえ、お節介心からどうにもほうっておけない。ハルルは悩んだまま、そのまま木の後ろに隠れていた。
>all
【ミカレヌ魔国 教会/ミラ】
ミカレヌ魔国の教会内にて、一人の男が倒れている。男は青い肌と白い髪を持ち、オマケに、何やら身体に機械のようなものが着いていた。
しばらくすれば、男は唸り声をあけながら目を覚ます。
「……ここは……どこだ……?」
辺りを見回して男は呟く。どうやら教会であるということはわかったものの……。
(何故俺はこんな所に倒れて……いやそもそも、なぜ俺はいきている……?)
そう疑問を抱く男。なぜなら自分は、ある戦士の手によって、とっくに消滅したはずだからだ。
……ミラが消滅したのは、今回が初めてではない。以前消滅した時は、創造主によって復活を果たした。だが、その創造主は、最後の戦いの時にミラ自身が吸収してしまった。つまりは、もうミラを復活させてくれる者は、この世には存在しないはず……。
ふと、ミラは自分の身体を見る。最期に、戦士たちがとどめを刺す際に、自分の体に残した大きな傷が消えている。それどころか、姿が創造主を吸収する前に戻っていた。
「……分からないことがどうにも多すぎるな。……ひとまず、ここはどこなのか……そして、俺のこの身に何が起きたのか……まずはそれを調べるべきか……」
そう呟いたミラは、教会の扉を開けて外へ出た。
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