龍神 2023-08-20 23:05:18 |
通報 |
── 宴を催す鍾乳洞
(しぃん、と静か過ぎて逆に音が響き渡るような暗い鍾乳洞は時折垂れてくる水の音以外に何の飾りもなく、風神が下駄を地に付ける足音が唯一の人気となった。外気に左右されること無く一年中快適な涼しさを保つそこは自身にとってもお気に入りの場所で、同時に新たに開拓した「保管庫」でもあった。ふわりと傾いだ袴の端をなんでも無いことのように捌くと、数秒遅れ風に包まれて己の腕の中へと運ばれるであろう彼女の現れを待ち、そしてそれが達成されるとするのであれば、にこにことした笑みを浮かべて身体をキャッチする。いわゆるお姫様抱っこ、と呼ばれるのであろう体勢で彼女の顔を覗き込むと、その造形の整い具合に益々満足したのかいつも浮かべている笑みを深めて。「二人きりになれたね、お嬢。今日はねえ、宴の用意をしていたんだよ。君みたいに丁度いい子が居てくれたのは僥倖だったな、宴が華やかになる。」ざっざっ、と奥部に足を運ぶにつれて微かな太鼓、笛、カチャカチャと慌ただしく皿を運ぶような音が目立ち出す。朝にも関わらず段々と夜の照明のような明かりがぽつぽつと灯り出し、さながら雰囲気は夜宴。風神の足元を駆け抜けていく小さな人型は全員何かしらの仮面をつけており、ひょっとこにおかめ、狐面に般若面などを被り表情を覆い隠しながら着物の端をはためかせている。準備のために奔走しているらしいのだが、それでも風神に敬意を払う立場の身ではあるのか駆け抜ける際には一度立ち止まって礼をしていく。大きいもので風神の膝下ほどの背丈しか無い小間使たちは、見上げた神の抱える女子が今までになく手厚い扱いをされていることに少々驚きを覚えているようで、一瞬だけ仮面の奥の視線を交差させてはまた仕事に戻っていき。やがて目的地として辿り着いたのは最奥部。ずらりと並んだ朱塗りの高坏の上にはまだ何も置かれておらず、準備が整っていないことを意味しており。上座に用意された2つの高坏の前に敷かれたこれも朱塗りの座布団の上に腰を下ろすと、同時に彼女を隣の座布団に下ろそうとして。ぱんぱん、と両手を叩けばおかめの小間使が即座に持ってきたのは網目の細かい笊と二つのサイコロ。片手で弄んではパシ、と纏めたそれを彼女へと見せながら、返事も聞かない内にどんどん話を進めて)
君もまだお腹は空いていないだろうから、宴の準備が整うまで僕と遊ぼう。……そうだな、その前に賭けをしようか。もし君が賭けに買ったら、君を無事に返してあげる。どう?
・・・・
お褒めの言葉をありがとうございます…!こちらこそ背後様の黎明ちゃんの魅力を十二分に引き出した流麗でありながらもお茶目なロルを拝見するたびに学ばさせて頂いております!
それでは、上記にて場所を転換させていただきました。もしも改善点や疑問点などがあればご連絡ください!
トピック検索 |