龍神 2023-08-20 23:05:18 |
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──っ!?ああ大変だ血が出ているじゃないか…!!
(最愛の彼女が差し出した指を視界に入れた瞬間怒気は霧散。周囲の様子が見えていなかったことは思考の彼方に追いやってしまったようで慌てて包み込むように人差し指に片手を添えると、傍らの革鞄からゴソゴソと絆創膏を探り出して。ガーゼと消毒液を当たり前のように取り出し、人の子に対する備えを万全にしていたことを過去の己に向け感謝しながら赤の滲むそこにポン、ポンとアルコールを染み込ませた綿を添え、慣れた手付きで手当を終えて。彼女の思惑はいざ知らず、ひとまず傷口に絆創膏を巻き終えたとすれば余計な横槍を入れてきた旧来の悪友には目もくれず、心配げに眉を下げては「痛かっただろう、もしも痛みが続くようなら言うんだぞ、家の丸薬を取ってくるからな……!」などと捲し立てるように早口で告げ)
(ぱちくりと目を瞬かせると慌てふためく龍神の姿に尋常ではない興味を唆られたようで、心配の対象となっている彼女と見比べながらふむ、と顎に手を当てる。見た所彼女の自傷は故意のもの、それすらも気付けずひたすらに愚直を晒す龍神の姿は大変滑稽な見世物だ。どうやらただの生贄というわけではないらしい──そんな彼女の好奇心は少しこちらにも向けられているようで、にっこりと笑っては「僕は彼の友人。酷いんだよ夜刀ってば、もう100年以上も音信不通だったんだからね。…君みたいな可愛い子を囲っているなんて知らなかったし。」穏やかに伸びた手は今度は頭上へ、美しい髪を慈しむような手付きで撫でると、やがて注文の数々を運んできた店員に軽く会釈をし自身の分であるコーヒーとキッシュを引き寄せて。同時に龍神と贄の前にクリームソーダとサンドイッチ、パンケーキをぐっと押しやり、丸い瞳をぐっと細めて)
……何で注文が分かったか気になる?僕の要求を呑んでくれるなら、教えてあげてもいいよ。
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