1715 2023-08-09 23:56:12 |
通報 |
(誰かに呼ばれた――気がする。聞き慣れた声で、それも必死に。朦朧とした意識の中で重い瞼を上げると、ぼんやり視界に映ったのは想い人。その彼女に逢うために来ているのだから当然とは当然とはいえ、こんな表情をさせてしまうのなら今日ばかりは逢いたくなかった。ばつが悪そうな表情で視線を逸らした後、一拍置いて一瞥を送る。明らかな動揺を見せる相手をどうにか安心させたいところだが、自分の想像以上に外傷は大きい様子。下手に動けば更なる重症化も否めないことは本能で分かった。しかしこんな状況であっても案外すらすらと言葉は出てくるもので、何時もの調子でさらりと告げてしまえば苦し紛れに笑みを浮かべて)
ちょっと……ね、油断しちゃった。でも大丈夫、大した怪我じゃないから
トピック検索 |