1715 2023-08-09 23:56:12 |
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(ぐらり、突如バランスを崩し大きく傾いた身体。じんじん痛む片腕と、隣で息を潜める彼女を見て漸く思考が追い付いた。庭先には彼女と同じ修道服を身に付けた女性の姿が見える。その様子から此方の存在には気が付いていないようだが、この悪魔にとってそんなことはもうどうでもよくなってしまっていた。てっきり彼女だけが身を隠し、侵入者である自分はあっさり見つかって駆逐、なんてオチを想像していたのだが。風で草花が揺れる音や衣服の擦れる音、彼女の呼吸音までも簡単に聞き取れてしまう程の、普段なら絶対に有り得ない距離感。この時間が永遠に続けばいいのに――なんて願いも虚しく、女性は人探しのためかきょろきょろと辺りを見渡しただけで、足早にその場を離れていく。徐々に遠のく背中を一瞥した後彼女へと目線を移して)
ミラちゃんのお蔭で助かったよ、俺だけ追放されちゃうところだったから
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