通りすがりさん 2023-07-31 16:16:22 |
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─私の可愛い子、君は優しいね。
(一瞬だけ驚いたかのように目を細めたものの、書物を閉ざしては少しばかり肘掛けから身を乗り出す。髪が床に擦れ、板作りの寝所の床が軋んだ。瞳を包む赫い文様が微かに熱を持って疼き、目元に走る鋭い痛みに小さく呻き声を漏らしながらも従者を招くように手を伸ばした。伸ばした手は仕切りに当たり、僅かにではあるが仕切りの隙間から長く伸びた黒髪が覗く。すぐに仕切りを降ろし直しながら従者を招き寄せ)
─おいで、私の可愛い子。
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