通りすがりさん 2023-07-31 16:16:22 |
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(呟きの後の微かな溜息を耳聡く感知すると、それが何かしらの意味を持つような気がしてならない。姿を見せない事も恐らく従者たちには言えない、彼にしか分かりえない懊悩があるのだろう、紙を捲る音よりもそんな思案に意識を傾けていて。やがて踵を返すよう促され、何時もなら命通り退室するものの先刻の溜息が脳裏を過り、苦衷を抱える夜の痛みを想像する。護衛を担っていた時は丸一日眠らないことも多く、それに適応した体は未だに睡魔を訴えない。未だ見ぬ主の心中を慮り、はっきりと、玲瓏な声音を響かせて。)
眠くはありません。主様が心ゆくまで私めはお傍におります。
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