通りすがりさん 2023-07-31 16:16:22 |
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─此処から見える景色は美しい。君達にも見て欲しい程だよ。
(従者の言葉に長い睫毛をふわりと伏せ、薄い仕切り越しに寝所を照らす冬の月を伏し目がちに眺めて呟く。瞳の周辺に刻まれた文様にそれとなく触れ、額に生えた角に触れながらごくごく小さな溜息を漏らした。無口な従者に甘えるかのように口を噤むと先程閉ざした書物に手を伸ばし、紙が微かに擦れる音のみが寝所を包む。暫くそうしていたが、やがて気付いたかのように微笑みながら従者に命令を)
─ありがとう、私の可愛い子。君も眠いだろう、部屋に戻ってお眠り。
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