草紙 2023-07-25 19:05:42 |
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▼ 一条文子 様(>>58)
……ふぅん、オレはそうは思わないけど。ていうか、怪しいと思わないの、それ。
(純粋な賛美を添えて説明を終えた彼女の顔を面白くなさげに聞き終えると、率直に過ぎて礼を欠いた返答を。どうやら推測は間違っていなかったらしいが、この事態をどう収めるのが正解か怠惰な頭の中は何時になく回転していて。緩めた力とともにぱっと手を放し、考え込むように顎に手を当てる。暫くの沈黙を経た後でも妙案は思い浮かばず、額のシワを深くするだけの結果となり。視界の端に映る鮮やかな紐がちらつく度に鬱陶しい考えがこびりつき、どうにも逃せそうにない。ふたたび覗いた微かな苛立ちに任せるまま彼女の持つそれを目掛けて手を伸ばし、いっそ奪い取ってしまおうと目を細めて。彼女がこの手を避けないならば組紐は奪い取られ、避けるのならばそのまま手元に残ることとなるだろう。どちらにせよ機嫌は治ることもなく、淡々と疑問への答えを付け足して)多分お前が聞いたのは、彩葉の声だろうね。チッ、あの耄碌……。
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