名無しさん 2023-06-25 20:10:45 |
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( 鼓動と同時に呼吸の仕方も荒くなっていく。
酔っ払いの喧嘩もヒートアップしていき、周囲の様子もざわめきから怒号へと変わり、男達を止めようと必死な形相で喧嘩の中へ割って入っていく。
そんな状況にも構わず、酔っ払いの1人が拳を振り上げ、驚いた通りすがりの女性が大きく悲鳴をあげる───
目に焼き付いて離れない血の色と、耳を劈く悲鳴や喧騒を聞く度、脳裏に浮かぶ光景があった。いつも夢でさえみてしまうあの光景。人が次々倒れていき、振りかざされる鋭い刃。自身の腹から流れる血を、ただただ、眺めることしかできなかった。)
……い、やだ。…たすけて……。
( 此方を心配して何度も声をかけてくれる相手の言葉すら届かなくて、無意識に腹の当たりをぎゅっと押さえれば、小さく絞り出すような声をだす。
そして、支えてくれていた彼の腕の中へ、そのまま糸が切れたように意識を失い倒れ込んだ。)
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