隣人 2023-06-23 05:37:13 |
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──…平気。
( リリーの記憶が無い事を何らかしらの衝撃によるものだとセオドアは思ったのか。言葉に釣られるまま自身の右側頭部に指先を触れさせたリリーは、そこに膨らみも滑りも痛みも感じぬ事に安堵の表情を浮かべ軽く頭を振るのだが。尚も止まぬ言葉の弾丸は、それこそ冷水と熱湯との差があるかのような温度差も打ち砕いていく。そして聞きたい事も全て弾丸の前に地に落ちるのだ。わかった事と言えばこの謎の──セオドアと名乗った男はリリーがこの場所に来るよりももっとずっと前から住み着いている事、男もまたこの場所を理解していない事。促されるまま、少しの怪しさ表情に滲ませ椅子に腰掛ければ男との距離は更に近付いた。汚れ一つ無い透き通るガラスを思わせる摩訶不思議な壁の向こう、此方側とあちら側とでまるで鏡写しの様だ。名前、名前、と今一度考えど少しも浮かぶ事は無く、されとて男の言う通り名前が無いというのは、思い出せないと言うのは不便だ。頭をぐるりと回し目に止まったのは血のように真っ赤な薔薇。暫し考えてからそれを指差して。 )
──ローズ。名前、思い出すまではローズにする。…ねぇ、セオドアが知ってる事は何?
( / そう言って頂けて有難い限りです……!そして質問のわかりやすい答えも有難う御座います。記憶の最終的な有無に関しましては此処で決めずにお話を紡いで行く中で生まれた気持ちを大切に決めさせて貰おうと思います。改めまして、短い間ですがよろしくお願い致します! )
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