隣人 2023-06-23 05:37:13 |
通報 |
へえ!かくいう俺も神の所業に良し悪しを感じないな。何故ならば神なんてものは非常に身勝手な道理なのだから判別付ける事さえ烏滸がましく馬鹿馬鹿しいからね_____そんなモノを罪でないなんていうなんて君は優しいよ、君を此処に閉じ込めたのはその神かもしれないのに。
(対して男は心底愉快そうに笑った。今にも花が舞いそうな上機嫌振りは議論に対してでは無く彼女が言葉を紡ぎ返す事に対して気を良くしており、それはまるで我が子の戯言を聞き入る父親のよう相槌を打った。小さな唇が閉ざされる頃、細めていた瞼を持ち上げて赤黒く染まった瞳孔にて紅潮し始める掌を見つめ、そして視線を離した。彼女よりも長く壁に触れていた指先は全くといって色の変化は無く、冷感を受けた様子も無い。遅れてゆっくりと壁から指先を離してテーブルの上へと落ち着いた。出入り口を模索し始めた様子の彼女の背に向けて、口だけの健闘を祈り、己はといえば眺めながら狐色にこんがりと焼かれたマフィンを手に取れば一口含み粗略を。彼女の前に広がる赤薔薇は見事な迄に深紅に染まり花弁から茎に掛けて瑞々しく直前まで人が手を掛けていたかのよう。それが幾つも咲き小さな檻の様になり掻き分けてみれば何かが見えるかもしれない。然しもし彼女が棘に間違ってでも触れそうになれば、目にも止まらぬ速さで棘が皮膚を引き裂き小さな傷を付けることだろう。)
………さあ?もしアプロディタの血ならば俺はその現場を目撃していただろうし。女神様以外の血、かもしれないね。
トピック検索 |