匿名さん 2023-05-23 23:58:59 |
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(この事を報告に行くべく身を翻すと後ろから呼び止められ振り返ると周囲が帰る中でただ一人、また先程の新兵が立っていた。彼の要件はレアリスに弟子入り志願ときた。英雄などという肩書きが着き始めた頃にこういった志願者が少なくなかったが、断ってきた。誰も彼もが"英雄に指導してもらった"という経歴が欲しいだけ、わかっていたから断っていた。あの頃はまだ、誰かの命を預かることに躊躇いがあったのだ。ましてや生半可な気持ちの人間は尚更。今はどうだと聞かれれば、その重さが軽んじたわけではないが……
断ろう。
「すまないが、弟子はとっていない」
そう思ったのに、彼は目を強く瞑り、身構えるほどの拒否の言葉を受け止める不安とダメ元での願いが全面的に体から溢れ出ているような、まるで怒られると覚悟した犬のようで今にも耳と尻尾が思いっきり垂れ下がっている様子が見えそうだ
指導官に割って入ったあの威勢は何処にいったのだろうか
「…………だが…新兵の訓練が終わった後の追加指導という形であれば問題ないが…構わないか?」
(危うく頷きそうになったのを堪え、"弟子"という形あるものを消し、あくまで他の者と扱いは対等だが本人の強い志望により訓練の延長を行っている、という線引きを施した。それに、今ではこういった志願者は全くないので、特別扱い…とはならなかろうと考え提案し)
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