匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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……。
初めまして。〝侍女〟の椿と申します。本日はご馳走様でした。とても美味しかったです。
( 成程。今の私は侍女なのか。…ふうん、侍女ね。彼からウエイトレスの彼女へそう紹介されては、なんだかもやもやとした胸の黒い気持ちを無理やり押し込みながらにこりと美しく微笑んで。自分の主人が侍女と言うのならばマァそういう事にしておこう。そのとろりとした花の笑顔は自分がいちばん可愛らしく見える計算され尽くされた花街の女の武器のひとつであり、マァどこからどう見ても一介の侍女の笑顔ではなく。 「 旦那様も、素敵なお店に連れてきて下さりありがとうございます。 」と彼のスーツの裾をくい、と引っ張れば子猫がみゃあみゃあ飼い主に甘えるように甘ったるい声でふにゃふにゃと微笑んで。あくまで今の自分は侍女なのだ、ちゃんと呼び方は弁えていると言わんばかりにやはり今は旦那様呼びで。……別に悔しくないものね?だって私〝侍女〟だもの。安心しきった顔しちゃって。ちらり、と彼女の方に蘇芳をやってはそんなことを思いながらニコリ!と貼り付けたような笑顔を浮かべて。 )
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