匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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た、たくさん働きます…!
わたしにできることなら、何でも!
( こんなに素敵な服たちを与えてもらったのだから、そうするのが義理だろうと彼の言葉にこくこくと何度も頷けばギュッと両手を握り何でもしようと答え。会計の時に、あまり行儀が良くないとは思いつつちらりと見やった金額はクラリと目の回ってしまうような…とんでもない数の0のついた総計で、あれだけあったら遊郭で何日も遊べてしまうと戦慄して。それだけのものを今自分は送られたのだ、これは一層気合を入れて彼にお仕えしなければ…!と小さい闘志をメラメラと燃やしていたのも束の間、ハキハキと明朗快活な声とそれに見合った美しい女がこちらに歩いてくればなにやら親しげに彼と話している。ナオさん、おハナさん、と親しげに下の名前で呼び合う2人と、それから異様に近しい距離感。モヤ、となにだか心の仲が黒いモヤで満たされていくような感覚と言い様のない不快感を覚えれば、洋服を着るときに着せてもらった下着があってないのかしらと胸元をきゅ、と抑えて。だがしかし彼の手を取って店内を案内しようとする女性を見て思わず彼の服の裾をきゅ、とほぼ無意識に掴んでしまえば、こちらを見た彼の黒瑪瑙をじっと強請るように甘えるような蕩けた蘇芳で見つめて「 な、直政さま、……お靴が、慣れなくて。……1人にしちゃ、嫌(や)。 」とちいちゃな声でそう零して。靴が慣れなくて、なんて嘘。本当はこのくらいのヒールなら高下駄よりもよほど歩けるしなんなら走れるくらいだけれども。でも、さっきまで自分に重なっていたその手が他の女性と重なるのが嫌で、それからお強請りをするときはいじらしく相手のどこかに触れながらキュッと眉を下げて相手の目を見つめろと姐さんから習ったので。椿の〝悪い癖〟は、どうやら自分でも素知らぬうちに彼に対して大きな想いを抱いていたようで。 )
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