匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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っ、……い、一生分、お洋服着た……ッ
( ぜえはあと息も絶え絶えに、はらりと肩から艶やかな黒の波打つ髪をひと房零しては目まぐるしいスピードで着替えた洋服たちの感想を一言。イヤ確かに全て可愛かったし、なんだか物語に出てくるお姫様のようになった気分でもあったのだが。それはそれとして着替えさせる田中さんの手腕があまりに俊敏すぎてなんだか着せ替え人形にもなったような気持ちで。息を整えていたのもつかの間、今着替えたものを全部買おうと言ってのける目の前の美丈夫に思わず目を向いて口を開きかけるも、『 かしこまりました 』と商品たちを持って椿の意見も聞かずサッサとレジスターへ向かってしまった田中さんによってその口から言葉が零れることはなく。そりゃあこの品々を買えば本日の売上ノルマを達成出来てしまうのではないかしらという値段なのだから、販売員である彼女がこの機会を逃すわけが無いのである。結局椿は田中さんの手腕により折角ならば、と彼と対になるようなあの黒のワンピースと、それから黒のパンプス、レースの可愛らしいカクテルハットを最終的に着せられたままで、「 な、直政様……全部だなんて、私、贅沢すぎます 」と繊細なレースの奥で不安げに揺れる蘇芳で彼を見つめては、本当に良いのかしらと確認するようにぽそぽそと告げて。でも口ではそう言っても体は正直なモンで、そうは言いつつもその真白の頬は興奮やらで薄紅色に染まっており。 )
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