匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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( 2人の間の空気は柔らかくなったとは言え、やはり車の中はまだ物珍しいようであたりを見回す相手の様子に微笑ましくなって。穏やかな発進をした車はゆらゆらと適度に揺れ、決して同乗者に不快な思いをさせることのない優しい運転で、家政婦のドライバーにも負けず劣らずの運転技術だ。茜色に染まる街には仕事帰りの人や今夜の献立を考える主婦達が歩いており、そして自分達と同じようにどこかへと向かう車が流れるように走っている。初めて屋敷に来る時と違って、リラックスした様子で流れる景色を楽しむ相手を見ていると、これからこうやって1人ではなく、相手と出かけることが出来るようになると思えば胸の奥がじんわりと温かくなっていくようで。そうして車を運転すること30分ほど。あたりはすっかり薄暗い時間帯だというのに煌びやかな灯りでまるで昼と見紛うほどの明るさの街に到着し。車を停め、忘れずに相手をまたリードするために相手側のドアを開けて手をとれば、「 よし、ここに入ろう。 」その街中でも一際存在感を主張する豪奢な建物に臆することなく入っていき。その建物の中はシックな内装で、店内には見ただけで上等だとわかる服がずらりと並んでいて。)
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