貴方とみる世界 〆

…大変だったな。

( 彼の言葉を聞きながら、返された上着を受け取る。まだ彼の体温でほのかに温かいその上着とは裏腹に、冷えきった表情の彼。いつの時代も差別というのはなくならない。眉間に皺を寄せるとどう声をかけていいか分からず一言だけ声をかけて。 )

…もし。マナトさえよければ、だが。俺の家で働かないか。

( 怪我をしてしかも職も失ってしまった彼は精神的にまいっているに違いない。ふと、しばらくの沈黙の後に重い口を開く。彼に対する同情が少しもないといったら嘘になるが、なんだか放っておけない。もちろん無理強いをするつもりもないし、嫌なら断ってもらっても構わない。そう真っ直ぐ彼を見つめて。)