少年 2023-04-23 20:24:13 |
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( 相手からの返答を聞けば、それに対しての返事はしなかったものの、そっか、となんだか満足そうに小さく呟いた。大きな上着は袖を通すと更なブカブカで不格好ではあったが、その分暖かくなれた気がした。
途中途中で仕事をする彼をちらりと振り返りながら、言われた通りに家へ直帰し、なんだかんだで名前も聞けたし上着も借りたし…当初の目的通り獣人の知り合いができてしまったのでは、と珍しく浮かれてしまい、その日はいつもよりも穏やかに眠りに着けた気がした。
__が、やはり現実はそう甘くはない。
翌日、いつものように仕事へ出向いたはいいが、接客した客がどうやら人間嫌いだったようで罵声暴言を吐かれれば皿を投げつけられた。料理も食器もグチャグチャで、店の掃除と解雇の話を聞いていればいつもより大分遅い時間になってしまった。
腕や頬に貼られたガーゼを撫でて痛みに顔をしかめれば、片腕に抱えた彼の上着をぎゅっと抱く。
今日はパーカーの下に長袖を履いてきた為寒くは無いが、冷たい気分のままだ。彼の言っていた時間は過ぎてしまっているし、とりあえず見に行くだけ行ってみよう、とその場所へ向かった。)
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