匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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怖かったすね。
( 自らの感覚が感じ取ったのは、落下の瞬間の浮遊感、急速に縦に流れゆく視界と足元に感じる風圧、そして近傍から響く伸びやかな美声で。ゴンドラの止まる衝撃でグリップを握る手に一瞬力がこもると、我に返ったかのように小さく息を吐き、のろのろと下降を始めるシートの上で充足感に満たされながら遠くを眺める。そこへ地上に足がつくより先に少女の泣き言が耳に届けば、落下中のお手本のような悲鳴が蘇り、ふつふつと込み上げる可笑しさを堪え切れずに。ふっと吹き出し、そよ風ほどの笑い声を立てたなら、細めた双眸を隣に向けて到底そうは見えない応答を軽やかに返す。座席に乗り込んだ際の地面が目前に迫り、視線の高さが元に戻って安全バーのロックが解除されては、仄かな笑みを湛えたまま「…ほら、もう降りないと」と絡まった指先を眼差しで示して )
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