主 2023-03-12 23:09:40 |
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(僅かな練習期間、身近な場所で理沙の成長を見ていた物の圧倒的な弱さが分かった。
“どうせ”“こんな事やったって”“私じゃ無理”といった、ネガティブな発言が非常に多くすぐにメンタルを壊す。
都度都度お互い感情任せな喧嘩こそしたものの、理沙の心の蟠りは自分が一番理解できた。
現れた両親の姿に理沙はキッと相手を睨むも「授業参観だよ。早く行け。町に被害拡大すんでしょ。」という自分の冷たい言葉に苛立たし気に現地へと向かい。)
(大きなモニターに映し出される理沙と守の姿。理沙の父親は呑気に葉巻に火を着け、母親の方は時計を気にしながらノートパソコンを開いて仕事をしている。
何か言いたそうな様子の相手を止めては無言のままモニターをじっと見詰める。
やはり実践ともあり、恐れからか二人の息は乱れていてタイミングが合わず二人の攻撃に微妙な差が生じている。
禍憑鬼の強大な一撃を喰らった刹那、自分のインカムが点滅し理沙からの接続が送られる。)
『-や、やっぱ無理!!!燈!!!早く助けに来てよ!!!-』
「そんなギャンギャン騒げるなら大丈夫だよ。ほら、もう一撃。」
『-無理だって言ってんでしょ!!!あんたそんなんだからモテないの!!!運良く結婚したからってイキんな!!!!!-』
「彼氏すらいない奴が僻まないでくださーい。ほら防壁張る。攻撃来るぞ。」
(寸の所で守が張った防壁に助けられた理沙は唇を噛み締めながら立ち上がる。
自分が助けに行かない事を悟ってか呼吸を整え再び攻撃を再開し始めたその時、)
『…もう良いわ。これから仕事なの。早く理沙を呼び戻して。』
(母親が立ち上がり眼鏡を上げながらこちらを睨む。)
「貴方が仕事である事と理沙を呼び戻す事に何の関係が?お時間なら退室して貰っても構いませんよ。」
『あの子も仕事なのよ。表紙の撮影に穴を開ける訳には行かないでしょ。』
「理沙の仕事なら問題ありませんよ。事務所に話を付けてあります。」
(何を言いたいのかと眉間に皺を寄せた物の、ふと視線を向けた母親のノートパソコン。仕事をしているのかと思っていたが画面に映し出されているのは市民向けの戦闘状況の生放送の画面だった。ミュートになっていた為全く気が付かなかった。改めて父親の方を見れば葉巻の灰は長く伸びており冷静を保っている風に見える物の心ここに在らずといった様子。無言のまま理沙に無線を繋げば口角を上げる。)
「あんたのパパとママが早く帰って来いってよ。私が怒られるのも嫌だし戦闘代わるよ。」
『-…え?…も、もしかして見えてるの?これ。…見てるの?-』
「見てるよ。しっかりね。」
(モニターに映る理沙は暫し呆然とした物の攻撃を構えを取っては強い眼差しで笑顔を浮かべる。)
『-代わんなくて良い。-』
「え、さっき助けろって騒いでたじゃんか。」
(ガタン!!!!!と音が鳴り響き振り返れば父親が椅子を倒す程の勢いで立ち上がり肩を震わせていた。ズカズカとこちらへと来るなり大声で『理沙!!!言う事が聞けないのか!!!帰って来なさい!!!!!』と叫ぶ。理沙はどことなく嬉しそうな表情で画面に向き直りピースサインをした。)
『-やだ!-』
(理沙の指示により理沙が敵の視界を自身のロックオンさせ言わば囮となっては町から外れた丘へと誘導する。敵が追い付きそうになったその時、くるりと振り返り指で銃の形を作り腕を伸ばす。流石にまずいかと出動しようとしたその時。無線越しの掛け声と共に敵の背後から守が飛び降りては理沙の攻撃と同タイミングで札を発射させる。)
『-日影ッッッ!!!見てますかぁぁぁッ!!!!!-』
(白煙で包まれるモニター越しの様子。数秒の沈黙と静寂。視界が晴れてきた所でモニターに映ったのは嬉しそうにハイタッチをする様子だった。)
「よくやった。理沙。早く戻ってきな。」
『-珍しいね。燈が誉めるなんて、さ、-』
(戦いの中で疲れたのか、理沙が言い終わる前に転送の術で現地へと向かえば倒れそうな身体を支える。)
『めっちゃすぐ駆け付けるじゃん。私の事好きすぎかって、』
「うるさいなぁ。でも良くやった。偉いよ。最高に格好良かった。」
(ちらりと横を見れば遅れて駆けつけた様子の相手に守が『見てましたか!?もうヘトヘトで…おんぶしてくださいよ…恥を忍んで言ってるんです!聞いてますか日影!!!』と騒いでいる様子。ぽんぽんと理沙の頭を撫でては再び転送の術でMEFへと戻って。)
(ドアを開けるなり飛び付いて来たのは理沙の両親。母親の目には涙の跡が残っていた。)
『理沙!!!!!』
『仕事、抜けて来たの…?』
『無理矢理、連れて来られたのよ!こんな事になってるなんて、』
「無理矢理連れて来られたって…。理沙が禍憑鬼と戦いますよーって言ったらすっ飛んで来たじゃないですか…。」
『…本当?』
『理沙。こんな危険な事はもうやめだ。この人達には話を付けておこう。だから、』
『あははは!…久し振りにパパと話したな!』
『理沙、ふざけないで。』
『ふざけてないよ。でもやめない。唯一私にしかできない事だから。やめない。』
(眠気が限界に来たのか、『燈、ちょっと寝る。お風呂は起きてから入るから起こして。』と言いソファーで横たわる理沙にブランケットをかけてやる。理沙の両親が改まった様子で『…先程は失礼な態度を…申し訳ありません。話を、聞かせてください。』と頭を下げてくる。テーブルに置きっ放しだった父親のスマホには仕事の連絡が大量に来ており、待受は理沙の写真で。)
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