主 2023-03-12 23:09:40 |
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(相手からの連絡に慌てて会議室へと向かう。まさかこんなに早くに来てくれるとは思わなかった。来客を待たせるわけにも行かないので急足で階段を駆け上がる。会議室前にて軽く咳払いをしては扉を開けて来客の少女へ頭を下げて。少女の正面の席に腰を下ろしては相手がコーヒーの入ったカップを自分に渡して来て隣の席へ腰を下ろす。隣の席でコーヒーに鬼の様にミルクとシュガーを入れる相手を尻目に少女に「砂糖使います?」と問いかけ。)
『え、あ、…貰います。』
「どうぞ。」
『あの、それで要件は、』
「単刀直入に言います。私達と一緒に禍憑鬼と戦って欲しくて。貴女にその素質があるんじゃ無いかなと思って連絡させて貰いました。」
(コーヒーを吹き出しそうになった少女は咽せながらも厳しい目付きのまま自分を睨み付ける。)
『はあ?何、意味分かんない。…そんな事、お断りに決まってるじゃない!』
「そうですか。分かりました。では交通費か車を手配します。ご足労頂きありがとうございました。」
『えぇ!?ちょっと!!!』
(タブレットを抱え席を立とうとした所、少女が慌てた様子で自分の腕を掴む。怯む様子も無く自分を見上げる少女。容姿はとても整っているのにピリピリとした雰囲気が漂っている。)
『素質、ね。お姉さんも私の力気になるんじゃないの?』
「まぁ。少しね。でも市民を戦いに巻き込むつもりは無い。いきなり呼び出してごめんなさいね。」
『わ、私の力が必要なんじゃないの!?』
(断っておきながらも引き取る様子のない少女に静かに溜息をこぼす。今時の高校生ってこんな感じなのだろうか、なんて考えたのも束の間、)
『見せてあげるわよ。』
(少女が相手の胸倉を掴んだその刹那、小さな声で『私を見て。』と言ったかと思えば一瞬相手の瞳が翳る。催眠術に近い何かなのだろうか。表情を変えないまま相手の胸倉を掴む少女の腕を掴めば少女と視線が交わる。)
「大したものだね。でも人の男奪うには十年早いよ。」
(少女の能力は解放される事なく解除される。相手は何が起きたのかも分からず瞬きを繰り返していた所。)
『え、何で…。』
「何で効かないかでしょ。私が止めたから。」
(相手の頭をパシンと叩き「何油断してんの。」と文句を言った所で少女が席に座り直し真っ直ぐな瞳で自分を見上げる。)
『話、聞くわ。』
「まず私にごめんなさいは?」
『え?』
「え、じゃねぇぞクソガキ。人の旦那に手出しといてすっとぼけんのか?」
(満面の笑顔で言った後に内心「(しまった。)」と思った。が、少女は親に怒られた子供の様な様子で俯いては小さな声で言った。)
『ごめん、なさい。』
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