匿名さん 2023-03-10 14:36:00 |
通報 |
( 部屋中に響くようなクレメンザの笑い声。テーブルの男たちもそれにつられるようにしてけらけらと笑い始めると、ベッリは肩を竦めて応えてみせ、そのあとすぐにはっはっと彼らの笑いに自らも加わった。もともと陽気な集団であるものの、ワインの力が組み合わさったおかげで男たちは更に上機嫌になっており、そして次第に話題が家族や恋人のこととなったことでレストランは一層賑やかになっていった。そんな喧騒の中、彼の唐突な一言。話し声でかき消されて聞こえなかったのか、それとも聞こえぬふりをしたのか。彼の注目はオリーブオイルがよくかけられたグリーンサラダに相変わらず向けられていたものの、口元にはほんの僅かな笑みが浮かんでいるようにも見えた。やがて仔牛肉を使った今夜のメインディッシュが運ばれてくると、男たちはその香りに一斉に鼻を突き出した。サルバトーレも待ち切れないと言わんばかりにフォークとナイフを握りしめ、全員に行き渡るのを待ちわびていたものの、そのとき、この場所からでもはっきりと聞こえるほどの大きな音が厨房からして。ジュリオに目配せし、彼の言葉に対して「パスタを床にぶちまけることよりも厄介なことがあるってか、ジュリオ。パスタ抜きだなんて言われたらお前の肉食ってやるからな」と笑いながら返すと席を立ち、様子を見るために厨房に向かって行って。するとそこには床に倒れたクレメンザがいた。はじめは、彼がいつもの悪ふざけで我々を驚かそうとでもしてるのかと考えたものの、クレメンザがかすかに震えていることにすぐに気付き、即座に近寄って支え起こそうとするも、彼は力なく手を振ると、そのまま意識を失った。厨房にぐつぐつと鍋が沸騰している音が響く。しかし、その音が聞こえている人物はもはやいなかった )
くそ、くそ、おい、しっかりしろピーター。くそ、だれか救急車を呼べ。おい、早く!
(/ありがとうございます!こちらこそ宜しくお願い致します。では此方もこれで一旦失礼致します。)
トピック検索 |