Summer garden

感想：

ビビはキス魔説、これまでの描写からして大いに頷くばかりです……！
し、それがあの「キスはうざいしお髭は痛いけど」でおなじみのギルバート由来というのが、もう本当に本当に好きすぎる話でして……。

彼のらしくない感情表現は、娘のビビだけでなく、亡き妻シェリーへの深い深い愛情によるものなんだなあ、だとか。
彼が彼女の想いを受け継ぐことで、シェリーが今や地上に亡くとも、ビビは間違いなく両親ふたりにめいっぱい愛されて育ったんだなあ、だとか。
そうして大人に成長したビビが、今度はギデオンにたくさんキスを振りまくということは。実はギデオンも全くつゆ知らぬうちに、少年時代に望んだ形とは違えども、娘に受け継がれたシェリーの愛を、四半世紀越しに得ることが叶っているんだなあ、だとか。
ギルバートからしたら、自分が娘にめいっぱい注いできた愛情が、まさか巡り巡って「よりによってこいつか！？」となるだろう男の元に渡ってしまうなどと、夢にも思わなかったろうなあ、大いに頭を抱えるだろうなあ、だとか笑（父親から見てすごく心配な相手だものなあ……）
以前からパチオ家全体も箱推しですし、そこにギデオンが加わってのほんわかファミリーも美味しいなあと思っていたのですが、キス魔説がもうあまりに奥深すぎて。本当にありがとうございます。

酔っ払ったビビの「齧りたいほど好き！」に、ギデオンは最初ごく軽く困惑しそうです。
でも親しさゆえに、ほどほどにいなしつつほどほどに好きにさせて、そうして散々あちこち食まれた後、宿なり寝室なりに運んで。
「喰っていいのは喰われる覚悟のある奴だけだ」とかなんとかほざきながら、仕返しの名目でビビを散々味わい尽くすんじゃないでしょうか。
でも、そうやって主導権を握ったつもりになりかけたところで、ビビの些細な表情や言動に胸を撃ち抜かれて、結局は悔しそうに抱いてほしいというか、行動的には抱いてるけど精神的には抱かれてるみたいになってほしさもある。


対応する書き散らし：

ビビのキス魔が父からの愛を受け継いだものなら、ギデオンのハグ魔は母からの愛を受け継いだものかもしれない。
「お母さんはお前が大好きよ」と言われながら、大事に大事に、それはそれは愛しそうに抱きしめられた思い出が、今のギデオン自身は殆ど忘れているけれども、どこかには残っていて。
“愛しい人、守りたい人は、抱きしめるもの”と無意識に刻み込まれているから、ビビ相手に表現しているのかもしれない。
もしかしたら、建国祭でビビに抱きしめられ、優しく撫でられた感触は、幼い頃にジェニファーに与えられた感覚を（本人自身はわかっていないまま）無意識に思い起こさせて、それであの時心がほどけたのかもしれない。
思えばギデビビが始まったのも、当時は全くそういう流れではなかったけれども、ワーウルフからビビを守るべく「抱きしめた」シーンからだよなとか。