薔薇の乙女 2023-03-09 22:09:21 |
通報 |
(最早、自分の名前を呼ぶマリアの声すら愛おしい。誰にも渡したくない、そんな感情が自分の体を支配する。生まれてこの方、神なんぞには祈ったことなどないが、どうかこの時間だけは止めて欲しいなんて願ってしまう。マリアの柔らかい桜色の頬に自分の手が触れる、試しに撫でてみると絹のようなさわり心地に擽られるようで。「許してくださるのであれば、俺も」ずっと共にありたいなんて言葉をすんでのところで飲み込んで。そんな言葉を口にしてしまえばもう戻れなくなる、そんなふうにふと思ってしまった。「…風が冷たくなってきましたね、貴方の体にきっと毒です、急ぎましょう」と、また歩き出して)
トピック検索 |