薔薇の乙女 2023-03-09 22:09:21 |
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い、いいえ…!
デーヴィト様はとてもお優しくて、…っ
( 落ちる雫をそっと拭う手がとても優しくて、なにだかマリアは更にきゅうと胸が苦しくなる。両親が死んでからこの広い敷地にたった一人きりで生きてきた彼女には、自分に触れる彼の体温がとても懐かしいものな気がして痛みとは別に涙がまたほろほろとこぼれる。「 わたくしの不手際でこうなってしまったのですから、むしろ謝らなければいけないのはわたくしの方です、 」もう傷口がスッカリ綺麗になったのを確認しては、まだ涙にぬれる瞳で謝罪と御礼を彼へと告げては花が綻ぶようにふわりと微笑んで。もうすっかり彼に対しての警戒心は抜け落ちたのかその笑顔はとてもやわらかで、まるで優しい春の日差しにも似たその笑顔はこの世の穢れや汚いところを一切知らないように純白で。 )
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