薔薇の乙女 2023-03-09 22:09:21 |
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ッあ、……ぅ……、
( 彼の大きな手に傷口を撫でられればびくり、と肩を跳ねさせて嬌声にも似た小さな声を思わず零して。だが手当をしてもらっている手前痛いだなんて言葉は吐けず、ぱさりと地面に薔薇を落としては声を我慢するかのように左手で口元を抑えて。「 ごめんなさい、……平気ですから、んッ…… 」と、やはり出来たての傷口に水が染みるのかぎゅう、と目を閉じて。痛みで出た生理的な涙に睫毛が濡れては平気だから続けてと。この庭の手入れをし始めた時にこんな怪我は慣れたはずなのに、やはり自分で手当をするのと誰かに手当をしてもらうのでは痛みの波が来るタイミングが読めないのか声を抑えることができず。淑女としてはしたない、とふるりと首を振ればさくらんぼ色の唇をキュ、と閉じて。 )
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