薔薇の乙女 2023-03-09 22:09:21 |
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デーヴィト、様…。
( 特に意味もなく彼の名前をぽつりと呟けば、思わず人形のように整った見目の彼に見蕩れてしまう。烏の濡れ羽色の髪と、血が通っていないような白い肌。すらりと長い手足に、……まるで血液のような、薔薇の花のような真っ赤な瞳。物語に出てくる王子様とは系統が違うけれど、きっと若い女が着いて言ってしまうのはいつだって王子様よりもこういった見目麗しい悪党のような男なのだ。マリアはハッ、と我に帰れば「 失礼いたしました、こちらです。 」と慌てて笑顔を浮かべて薔薇園の中へと歩を進めて。こんなに夜更けに、こんなに綺麗な男性と2人きり。どきどきと高鳴る心臓には聞こえないふりをて、芳醇な香りの広がる薔薇園の中を真っ直ぐ進んで。 )
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