匿名さん 2023-03-08 21:19:11 |
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でも少しまだやりたい事があるので。
(ざっと掴んだハーブをポットに入れそのままお湯を注いだ彼の手付きを見ていた、彼の作る料理やお茶は量を細かに量る様子は無いのに、何故だろう、自分が神経質に作るそれらにはない温かみがあると感じられて。今日は早く寝ろ、とでも言いたげな彼の台詞をふいと交わし、届いていた書簡の封を開けて。夜もずっと更けて窓の外の鳥も眠ってしまっても起きて何かしらの作業をしているのが日常、勿論日々の雑務に忙殺されているというのもあるが、知人から譲ってもらった書物や論文を読んでいる間は実状を忘れられる、ふと顔を上げれば此方を眺める相手が視界に映って。彼は自分のように虚の世界へ落ちゆく術を知っているのだろうか、それともそんな必要などないからその瞳は真っ直ぐな光を湛えているのだろうか、濁った視線をぼんやりと向け返す
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